2007年9月13日木曜日

Fw ビジネス文書に才能は不要 3つのルールを守れば必ず伝わる

ビジネス文書に才能は不要 3つのルールを守れば必ず伝わる
2007年9月6日
(ロブ@大月=フリーライター)

 文章術に関する本が非常にたくさん出ている。しかし、分かりやすく、自分の文章にすぐに生かせるテクニックを書いた本は少ない。

 そんななか、日本テレビの『世界一受けたい授業』に出演したこともある、藤沢晃治さんの『「わかりやすい文章」の技術』(講談社ブルーバックス)は、タイトル通りに非常に分かりやすく、著者にも学ぶべき点が多くあった。藤沢氏に、分かりやすいビジネス文書の書き方を伝授してもらった。

日本人は自己表現が下手
日本人は、自分の言いたいことを表現する際に、ついつい手を抜きがちです。話をしている相手も、「同じ考えを共有しているはず」という前提に立つ人が多いからでしょう。多様な人種が混在しているアメリカなど違うところですね。

日本には、「自分の主張をしてはいけない」という暗黙の了解もあります。例えば日本人は、「空気が読めない」ということをよく問題にします。その場の雰囲気から事情を読んで周囲に合わせろ、ということですよね。これも、自分の言いたいことを伝える努力を、ついつい怠る要因になっていると思います。

英文テクニカル・ライティングの技術が、日本語の文にも応用できる
文章の書き方について、お話しましょう。日本の学校教育は、自分の考えや情報を、正確に効率よく相手に伝えるためのテクニックを取り扱いません。皆さんが使った教科書に載っていたのは、小説やエッセイなど、情緒を優先させる題材ばかりだったのではないでしょうか。

いっぽう欧米圏では、自分の意見や情報を正確に他人に伝えるための、テクニカル・ライティングの体系が確立しています。私は、工業英検1級取得を目指す勉強の過程で、英文テクニカル・ライティングの考え方を知りました。

この技術の95%は、そのまま日本語の文章術にも通用すると確信しました。それ以来、テクニカル・ライティングの体系を基に、分かりやすい文章の書き方について、ずっと考え続けてきました。そして、ビジネス文書を書く基本として次の3つのことを忘れるな、と必ずお話しするようにしています。1つ目は「理解のゴールを先に与えよ」、2つ目は「レイアウトで情報構造を明示せよ」、3つ目は「それぞれの『文』を短くせよ」です。

この3点を守れば、日々の業務の中で作成するビジネス文書を、より分かりやすいものにできるはずです。

忘れてはならない3つのポイント
理解のゴールを先に与えよ
 大切なのは、「理解のゴール」を文書の冒頭で読者に与えることです。文章全体が何を言いたいのか、言い換えれば、主題や概要に当たるものを文書の先頭に置くことが重要です。

読み手は、しばらく読み進んでも、その文書が「何を言いたいのか」が分からないと、いら立つものです。ビジネス文書は、感動ではなく、素早く情報を与えることが役割です。読み手を「待たせない」構成にすることが大切です。

例えば、「歓送迎会のお知らせ」を書く場合には、

・○○さんの送別会のお知らせ
・7月30日午後8時30分より

・レストラン「ニッケイドットネット」にて

・会費1万円

まずこうした、最重要ポイントを書き並べてしまう。それから会の詳細な説明や店の概要などを書き加えていくのです。

改行や空白を挿入する
 文章を読みやすくする技術の1つとして、レイアウト技術があります。フォントを変えたり、改行を適宜入れるだけで、劇的な効果があります。

ビジネス文書では、特に、空白行の挿入をお勧めします。長い文章は、3〜4行の意味の固まり(段落)に分けて改行する。さらに、段落と段落の間に空白行を入れる。

これによって読み手を、目の前にある段落に集中させるのです。100の階段を一気に駆け上るのは大変です。でも、10段ごとに踊り場がある階段ならば、10段ごとに休みが取れます。どちらが楽かは明らかですね。

文を短くする
 第3は、「文」を短くすることです。これは、紹介するコツの中でも、突出して効果が大きいものです。句点の「。」を使うことで、読み手は小休止できます。1文の長さは、40字を基準と考えるのがよいと思います。

大きな分厚いステーキは、そのままでは食べにくいですね。でも、初めから一口サイズに切ってあるさいころステーキなら、食べやすい。短い文が分かりやすい原理は、まさにこれと同じなのです。

これに関連して。1つの文が 2つ以上の節を含んでいる場合には、それぞれの節を文に格上げした方が分かりやすくなります。節は、2つ以上の語でつくる単位で、主語と動詞を持ちます。文を節単位に分解すれば、曖昧さが消えて、相手に伝わりやすい文になります。

例えば「長いセンテンスも、話しているときならあまり違和感がありませんが、文章ではなるべく避けた方が良いにもにもかかわらず、書いているときは気付かないで、…」

このような文章も次のようにすると分かりやすくなります。

「長いセンテンスも、話しているときなら違和感がありません。しかし、文章ではなるべく避けた方がよいのです。にもかかわらず、書いているときはなかなか気付きません」

また、長い修飾語を使わないことも大事です。長い修飾語は、どの語を修飾しているのか分からなくなってしまうからです。

「去年、間違えて京都駅付近の本屋で買った本」の文では、「間違えて」という修飾語がどの語を修飾しているのか分かりません。大阪駅付近の本屋で買わなければいけなかったのに、京都駅付近の本屋で買ってしまったのか? また、Aという本を買うはずだったのに、Bの本を買ってしまった、とも読めます。

藤沢晃治氏のプロフィール
 慶應義塾大学・理工学部管理工学科卒業。大手メーカーにソフトウェア・エンジニアとして勤務の後、2005年に退職し、現在、執筆を中心に活動。講談社ブルーバックスの『「分かりやすい文章」の技術』、『「分かりやすい表現」の技術』、『「分かりやすい説明」の技術』はベストセラー。『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)などに出演。

著書として他に『理解する技術』(PHP研究所)、『日本人が英語をモノにする一番確実な方法』(三笠書房)などがある。藤沢晃治氏自身の直接指導による『「分かりやすい文章」の技術』をテーマとした公開セミナーが2007年11月17日(土)にパシフィコ横浜で開催予定。現在、公式サイトで受講者募集中。
公式サイト:http://www.fkohji.com/

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