2007年10月24日水曜日

不採算プロジェクトを撲滅せよ!

不採算プロジェクトを撲滅せよ!
2007年10月10日 18時00分 更新
プロジェクトを可視化する
 不採算プロジェクトの存在は、企業の根幹を揺るがすものである。しかし国内企業ではプロジェクトの実態を把握できている企業は少数派である。従って多くの場合、後半になって、突然プロジェクトが火を噴いてしまう。そして火消しのために膨大なコストを投入する。しかし本来プロジェクトが成功するかどうかは、プロジェクトの15%が終了した時点ですでに確定している。その時点で予定を超過しているプロジェクトは、統計的にまず最後までリカバリーできないのである。

 企業は早急にプロジェクトマネジメントを導入してプロジェクトの実態を可視化し、不採算が予想される、あるいは、危険度の高いプロジェクトを早い段階で再計画出来る体制を作る必要がある。再計画のタイミングは早ければ早いほどダメージは小さい。

 不採算プロジェクトの撲滅。そのためにはブラックボックスになってしまっているプロジェクトを可視化・見える化する必要がある。そして、その可視化の方法は既にグローバルスタンダードとして確立しているのである。プロジェクトには必ずリスクが存在する。逆にリスクのないプロジェクトでは、革新的な新製品を作り出すことは出来ない。リスクを持ってプロジェクト始める事と、可視化によりリスクを早い段階で見つけ出す事の両立が大切なのである。

 プロジェクトマネジメントがもたらすメリット、すなわちプロジェクトの実効性といったものは、多くの企業で実証されている。例を挙げれば、

売上増加と顧客満足度の向上
新製品の開発期間の短縮
コストオーバーと不良品の発生率低下
といったものがプロジェクトマネジメントによる成果の代表的なものである。

 だが、ただ個々のプロジェクトを単に遂行しているだけでは、こうした恩恵にあずかることはできない。先に述べたように、リスクを取らずにルーチンワークに堕したプロジェクトが乱立しているようでは、会社としての成功は見えない。ここを理解しなければ、生き残りを賭けた企業競争に敗れていくだけである。全てが成功するプロジェクトはあり得ない。それはそもそも安全地帯で無難な仕事をしているだけである。リスクをとらなくては、会社の次の時代を切り開くような新しい製品を作り出すことなどできはしない。大切な事はリスクの高いプロジェクトも許容して、失敗してもそれを責める事のない企業文化と、早い段階で失敗するプロジェクトを見極めてストップし、可能性の高いプロジェクトに資源を集中するポートフォリオマネジメントである。最初から全て成功するプロジェクトばかりやっていては、革新的な新製品や新サービスなど生まれてこない。「うちの会社では失敗プロジェクトなんてない」。そういう会社にこそ、現在の日本企業が抱えている問題点がある。

プロジェクトポートフォリオを管理するということ
 では、早い段階でどうやって、失敗するプロジェクトを見極めれば良いのか、それを実現するのが全社規模でのプロジェクトマネジメントであり、プロジェクトポートフォリオマネジメントある。全社のプロジェクトを適切に管理し、成功確立を上げるための努力が必要となる。つまり、会社規模でプロジェクトとそのプライオリティをコントロールするための仕組みが求められる。


ハロルド・カーズナー氏 米国では、長期的な経済の停滞を打破するために、90年代以降プロジェクトマネジメントを実現するための改善努力が続けられてきた。その活動の成果としてベストプラクティスが導き出され、組織体のプロジェクトマネジメント方法論に統合され、それが製品品質の向上や、国際競争力の向上に繋がって来ている。比較して日本はどうだろうか。

 プロジェクトマネジメントとは、さまざまなプロジェクトの進捗と成果を測定するものである。より詳しく言えば、計画と現実の差異を把握し、最終目的まで継続的にコントロールを行うことである。より高い価値を生み出すために形式化し、把握し、水準化を行うプロセスといってもよいだろう。

 こうしたプロジェクトの管理、プロジェクトマネジメントこそが、急激な変化が求められる現代の企業活動において必要なものであり、これに成功することが、企業の成長や競争に大きな力を与えるものである。

 米国でさまざまなプロジェクトマネジメントに関する著作そのほかの活動を行っているハロルド・カーズナー博士によれば、プロジェクトマネジメントは「既に企業が生き残るために絶対に必要なプロセスになっている」という。カーズナー氏は、そのための方法論を長年にわたり研究してきた第一人者である。



プロジェクトマネジメントの実際をカンファレンスで紹介
 マイクロソフトは、こうしたプロジェクト管理の手法について、さまざまな観点から提案や事例紹介を行っている。その集大成となるのが、来る11月20日に東京国際フォーラムで行われる「Project Conference 2007 in Autumn」だ。




 2007年2月に第1回が開催時には、800名を超える参加者に対して、国内のプロジェクトマネジメントの実情を探り、さまざまな成功事例を紹介しながら、同社のプロジェクトマネジメントソリューションである「Microsoft Office Project 2007」を用いた具体的なプロジェクト管理の手法を提案した。

 今回の基調講演には、先に紹介したハロルド・カーズナー氏が登壇する。カーズナー氏は、米国で30年以上前からプロジェクトマネジメントを実践、世界で初めて体系的に研究したプロジェクトマネジメントの権威。これまでに米国各地の大学で教鞭をとり、全米プロジェクトマネジメント協会会長も務めた。民間企業ではNASAや米軍、Disneyといったさまざまな業界のコンサルティングを手がけた実績を持つ。今なお世界各地でプロジェクトマネジメントのトレーニングやコンサルティングを行っている。現在までに全世界でカーズナー氏の講義を20万人が受講し、その著書は250冊以上に及ぶ。日本国内でも多くの講演経験を持っており、熱烈なファンも多い。また、著作の多くが翻訳されている。

 Project Conference 2007 in Autumnにおけるカーズナー氏の基調講演のテーマは「プロジェクトマネジメントによるエクセレンスの実現」。カーズナー氏がその著書の中でも掲げている、プロジェクトマネジメントの成功のステージであるエクセレンスをどのように達成するかについて、プロジェクトマネジメントにおけるベストプラクティスの追求によって、顧客の要求や時代の変化に忠実に対応していくためのプロセスが紹介される予定だ。

 プロジェクトマネジメントの手法は、文化の違いなどから企業ごとに異なるのが普通である。そのため、ベストプラクティスを見分け、評価し、利用するといった経験的な側面が必要となる。基調講演ではこうした点についても解説が行われ、より実践的な内容も盛り込まれる。併せて、知的財産としてのプロジェクトマネジメント手法を保護・管理し、その遂行を支援する専門部署、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)の役割についても紹介される。これからプロジェクトマネジメントを戦略的ツールとして実践していこうと考える企業の担当者は必見となるに違いない。

 そのほか、PMI(プロジェクトマネジメント協会:本部は米フィラデルフィア)東京支部からはPMBOK実用化テンプレートが紹介される。PMI東京支部は1998年にPMIの日本支部として発足、PMIのグローバル活動の日本における唯一の支部として、PMP(プロジェクトマネジメント資格取得者)認定支援、セミナーやフォーラムの実施、プロジェクトマネジメント関連図書の翻訳など、幅広くプロジェクトマネジメントの普及活動を展開している。

 また、プロジェクト管理の先進分野と言われる航空宇宙・国防分野における「Microsoft Project Server」の導入事例を紹介するセッションでは、英国最大の航空関連企業であるBAEシステムズによる製品開発プロジェクトの実例が紹介される。ちなみに同社は、立ち乗り電動二輪車のセグウエィに使われている振動式ジャイロを、住友精密工業との合弁会社によって供給していることでも知られている。

 Project Server 2007の導入を検討しているのであれば、マイクロソフトのテクノロジースペシャリストによる、検証環境を構築するためのHow-Toを紹介するセッションが役に立つだろう。Project Server 2007が備えている機能を知ることから始まり、セットアップおよび活用までを網羅した実用的な内容になっている。そのほか、実践活用を想定したカスタマイズ例を紹介するテクニカルな内容のセッションも見逃せないだろう。

 さらにこの日には、MPUF(Microsoft Project Users Forum)のユーザーカンファレンスも同時に開催される。MPUFには現在1万名を超える会員が参加しており、メーリングリストによる情報交換のほか、研究会などが活発に行われている。


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マイクロソフト株式会社 インフォメーションワーカービジネス本部 IWソリューションマーケティンググループ エグゼクティブプロダクトマネージャ 相場宏二氏

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