2007年6月8日金曜日

用語集 - 先物

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■先物取引
先物取引とは、将来その値段で商品を売買するという約束のことです。そして先物取引は大きく
2種類の意味を持ちます。
① リスクヘッジとしての先物取引
例えば、おまんじゅう屋さん(生産者)の饅頭の餡は小豆で作られています。この小豆が不作で
値段が上がっても、おまんじゅう屋さんは饅頭の値段を上げるわけにはいきません。このため、
いつも同じ値段で材料が手にいれられるよう先物取引で買い予約をしておくのです。受け渡し
期日が来て、その時の相場が上がっていても予約した値段で手にいれられますし、差額だけ
儲かることになります。その反対に、値段が下がっていても買い約束した価格を支払わなければ
なりません。この場合、一見損をしたように見えますが、予めその値段で製品のコストを考えて
いるのですから、問題はないわけです。
② 資産運用としての先物取引
一般の商品取引では、築地市場のように現物市場において売買取引が行われています。
先物取引とは、①のように将来の一定の時期に商品とその対価を受け渡すことにより、決済する
ことを目標としながらも、最初の契約値段と反対売買(売り契約をした場合は買い戻し、買い契約を
した場合は転売する)をして取引を終了することができるのです。つまり、必ずしも現物を引き取る
ことなく、反対売買をして差額の支払い、または、受け取る決済方法(=差金決済)を制度として
認めた取引です。また、商品先物市場においては、そのほとんどは、反対売買で決済され、現物の
受け渡しによる決済は少ないのです。それゆえ、一般投資家も、現物を引き取っても良いと思う
貴金属に限らず、石油製品、穀物等の商品取引に参加できるわけです。
また、主なメリットとして3つ上げられます。
① 運用効率が高い
極めて少額の資金(取引証拠金)で多額の取引ができるのが商品取引の特徴の一つです。株式の
信用取引では総代金の最低30%が必要ですが、商品取引では10%程度でできます。
② 値上がりはもちろん値下がりも狙える
株式の信用取引と同様に、値上がりすると思えば買い、値下がりすると思えば売りからスタートして
利益を得ることが可能です。しかも株式の信用取引との違いは、日歩がかかりません。
③ 有価証券を証拠金として活用できる
取引証拠金は現金だけでなく、商品取引所が指定する株券、公社債、信託、上場商品の
倉荷証券などの有価証券が、おおむね70~80%の評価額で活用することができます。しかも
名義はそのままで、利札、配当はもとより、値上がりした場合の売却も可能です。金(ゴールド)の
ように差金決済だけでなく、現物を引き取る投資家がいますが、将来は上がると思ったら、現在
全額の資金がない場合は先物で予約をしておき、期日が来てから全額支払って手元におくことが
できます。
先物取引
先物取引

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■先物取引と株式の違い
先物取引
■取引所と上場商品
商品先物取引株式取引
商品取引員(商品取引会社)
登録外務員を通じた取引
監督官庁の許可で営業
取引会社
証券会社
登録外務員を通じた取引
監督官庁の免許で営業
経済産業省
(貴金属、工業製品等)
農林水産省
(農産品)
監督主務省金融庁
商品取引所(全国7ヶ所)
取引所ごとに上場商品が異なる
取引所

取扱商品
証券取引所
(東京証券取引所、
大阪証券取引所等)
上場株式
差金決済の場合、値上がり、値下がり
どちらでも同じ条件で取引可能
取引形態
企業業績や景気に応じて変動する
株価の値上がり分が利益
1枚単位取引単位1,000株単位が主流
必要資金は総取引金額の5~10%
有価証券でも充当可能
必要金額全額(原則として)
上場商品ごとに期限あり
6ヶ月~1年以内が主流
取引期限期間制限なし
取引所名商品
東京工業品取引所
金・銀・白金・パラジウム・アルミニウム
ゴム・ガソリン・灯油・軽油・原油・オプション金
東京穀物商品取引所
とうもろこし・大豆ミール・一般大豆・NON-GMO大豆
小豆・精糖・アラビカコーヒー・ロブスタコーヒー
大阪商品取引所シート3号・TSR20・ニッケル・アルミニウム・ゴム指数
関西商品取引所
冷凍エビ・NON-GMO・小豆・コーヒー指数
コーン75指数・精糖・生糸
福岡商品取引所
ブロイラー・とうもろこし・IOM一般大豆・小豆
NON-GMO大豆・大豆ミール
中部商品取引所ガソリン・灯油・軽油・鶏卵
横浜商品取引所日本生糸・国際生糸・じゃがいも・野菜

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先物取引
■取引単位
商品先物取引では、『1枚』という単位が使われます。また、どれだけの数量を『1枚』にするのかは、
各商品ごとに異なります。(例:金1kg、とうもろこし100,000kg)
■取引証拠金
委託者(投資家)が商品先物会社に入れる担保のことを取引証拠金といい、先物取引をするには、
必ず取引証拠金が必要です。また、商品を取引するといっても、その代金をすべて払い込む必要は
なく、その各商品ごとに一定額の取引証拠金が定められており、その証拠金を入れることによって
先物取引が始められます。この証拠金の料率は総取引代金の5~10%です。取引証拠金は
4種類あり、通常、取引本証拠金のことを取引証拠金と呼んでいます。
① 取引本証拠金
最初に差し入れる証拠金で、取引のベースになります。その額は主務大臣が定める料率を
下回らない範囲で各商品取引所が定めます。これは各商品により違いますが、その料率は
総代金の5~10%です。
② 取引追証拠金
「追証(おいしょう)」と呼ばれるもので、取引の途中で損失が生じた場合、その損失が
本証拠金の50%を超えてしまった時に直ちに差し入れることが求められます。追証が必要に
なると投資家は、その追証拠金をに入れるか、取引を清算するか、すぐに決めなければ
なりません。追証は通常電話で請求が来て、翌営業日の正午までに入れなければなりません。
③ 取引臨時増証拠金
相場の変動が激しくなった時や、その恐れが出てきた際に、取引所の判断によって、臨時に
増額され徴収されるものです。
④ 取引定時増証拠金
当月限(とうげつぎり)の取引に適用されるものです。当月限の取引では値幅制限が
外されるので、価格変動幅の増大リスクに対して増額して課せられるものです。
限月:先物市場における契約の決済期限の月をいいます。当月限とは一番決済の近い月のことです。

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先物取引
■委託保全
商品先物取引業界では、商品取引員が大勢の委託者(お客様)から多額の取引証拠金などをお預
かりする責任を考え、万一倒産した場合でも商品取引所法に基づいたさまざまな制度で、委託者債
権の保全を図っています。
・委託証拠金の直接預託制度
取引を行うために委託者が担保として預託する証拠金を取引員は㈱日本商品清算機構に全額
または当該金額以上が預託しなければなりません。委託者は、万が一の場合には清算機構に
証拠金の返還を請求することが出来ます。
㈱日本商品清算機構:商品取引所法により規定されており、業務は主務大臣の許可に基づいて
行われます。
・委託者保護基金による監視
商品取引員が委託者からお預かりした証拠金を清算機構に預け入れるまでにはタイムラグが
生じます。この間の資産保全の措置として取引員は証拠金を信託財産として分離保管し、
信託銀行などに預託してこれを保全します。なお、この保全措置は委託者保護基金により
監視されており、不足の事態発生時には同基金が信託管理人の一人として証拠金を返還する
義務を負っています。
委託者保護基金:主務大臣の登録を受けた「委託者弁済義務」を負う会員組織法人です。
その目的は委託者資産の保全状況を監視することにあり、全ての取引員は
同基金への加入を法律で義務付けられています。
・委託者の資産保全とペイオフ
清算機構への預託金、委託者保護基金監視の下で保全された資産を合算すると、委託者が
取引員に預託した証拠金は全額補償されることになります。ただ、不測の事態に陥り、なおかつ
委託者の資金が100%弁済されない場合には、委託者保護基金は一人当たり1,000万円が限度、
というペイオフ制度を適用して対処します。
■先渡取引
銀行間の外国為替取引の種類の一つです。
フォワード取引(金利のフォワード取引とは異なるので注意)とも呼ばれ、一定期間の通貨の交換の
ことをいいます。通常、2営業日後にスタートをして、一定期間後に反対売買を約束して行う取引です。
■先物と信用取引の違い
信用取引では株式や資金の貸借関係が発生しますが、先物取引は発生しません。
信用取引を行う際の価格は、現物取引の価格と同じであります。しかし先物取引は、現物市場とは
別の市場が存在し、独立に取引が行われるため、先物取引を行う際の価格は現物価格とは別なも
のになります。

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